vsolj-news 344: New Nova in Ophiuchus VSOLJニュース(344) へびつかい座に新たな新星が出現 著者:前原裕之(京都大学) 連絡先:maehara@kwasan.kyoto-u.ac.jp 私達の天の川銀河の中心方向に見える星座の1つのへびつかい座の中に、新た な新星が発見されました。新星を発見したのは福岡県久留米市の西山浩一(にし やまこういち)さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫(かばしまふじお)さんのチー ムと、静岡県掛川市の西村栄男(にしむらひでお)さん、群馬県嬬恋村の小嶋正 (こじまただし)さんです。西村さんは3月10.805日(世界時; 以下同様)に焦点距 離200mmのレンズとデジタルカメラで撮影した画像から、小嶋さんは10.807日に 撮影した画像から、西山さんと椛島さんのチームも10.814日に焦点距離120mmの レンズとCCDカメラを用いて撮影した画像から、それぞれ独立に9.5等の新天体を 発見しました。また、福岡県の高尾さんが10.753日に撮影した画像にもこの天体 が9.5等で写っていたことが報告されました。西山さんと椛島さんが発見直後に 口径50cmの望遠鏡を用いて行なった確認観測によると、この天体の正確な位置は 赤経: 17時 14分 02.53秒 赤緯: -28度 49分 23.3秒 (2000.0年分点) です。 スペインのカナリア諸島にある口径2mの望遠鏡で行なわれたこの天体の分光観 測によると、この天体のスペクトルにはP CygプロファイルをもつHαや中性酸素 の輝線がみられる他、1階電離した鉄などが吸収線としてみられることが分かり ました。これらの特徴からこの天体が爆発の初期段階にある古典新星であること が判明しました。岡山県の赤澤さんによる分光観測でもP Cygプロファイルをも つ強いHα輝線がみられる同様の結果が得られました。 この新星はASAS-SNの観測データでは3月6.362日にはまだ15.5等よりも暗かっ たものの、西山さんと椛島さんの観測によると発見前日の9.813日にはすでに 10.9等に増光していたことが分かりました。発見後の観測によると、この新星は 3月12日の時点で発見時とほぼ同じ9.5等前後の明るさで観測されており、今後の 明るさの変化が注目されます。 2018年3月13日 参考文献 CBAT "Transient Object Followup Reports": TCP J17140253-2849233 CBAT "Transient Object Followup Reports": PNV J17140261-2849237 Williams, S. C., et al., ATel #11398 赤澤, vsolj 13046 CBET 4492: NEW NOVA IN OPHIUCHUS = TCP J17140253-2849233 = PNV J17140261-2849237 新星の画像 ・西村さん(発見) http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/image/PNVinOph2018.jpg ・吉本さん http://orange.zero.jp/k-yoshimoto/TCP_J17140253-2849233.jpg ・清田さん http://meineko.sakura.ne.jp/ccd/TCP_J17140253-2849233.jpg 新星のスペクトル ・赤澤さん http://akazawa-hide.sakura.ne.jp/keijiban/TCPJ1714/TCPJ1714_20180311SP.png ※この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開  等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典  を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、  VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利  です。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が   subscribe vsolj-news  と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。  なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。