国立天文台・天文ニュース (498) 浅見さん等、新彗星を発見  美星スペースガードセンターの浅見敦夫(あさみあつお)さん等が、新彗星を 発見しました。 11月21日夜、岡山県美星町(びせいちょう)、美星スペースガードセンターの 浅見さん等は、口径50センチの「美星小惑星追跡望遠鏡(Bisei Asteroid Tracking Telescope for Rapid Survey)」による観測中に、そのCCD像から、 「ヘルクレス座」に13.8等の新彗星を発見しました。報告によりますと、コマ 直径が30秒で、長さ30秒の短い尾が認められ、東南方向へ移動しているとのこ とです。  この発見は洲本市の中野主一(なかのしゅいち)氏を通じて国際天文学連合に 報告され、この新彗星にはC/2001 W2の認識符号が与えられました。発見後いく らも時間が経っていないので、日心軌道はまだ求められていません。このあと 「浅見彗星」の通称になる見込みが大きいと思われます。日本人による新彗星 発見は、ほぼ1年前に宇都宮章吾(うつのみやしょうご)さんによる「宇都宮・ ジョーンズ彗星(C/2000 W1 Utsunomiya-Jones)」発見以来のことです。  美星スペースガードセンターは、地球に接近し衝突するおそれのある小惑星 や、宇宙デブリ(廃棄された人工衛星、その破片、打ち上げのときに生じたロケッ トの部品など)を観測する目的で設立された財)宇宙フォーラムの施設です。 このセンターの運用を、NPO法人(特定非営利活動法人;Non-Profit Organization) の日本スペースガード協会が行っています。その施設は1998年から2004年にか けて建設が予定されています。小惑星衝突が人類に及ぼす危険はいうまでもあ りませんし、宇宙デブリはスペース・シャトルなど有人宇宙探査機に衝突する と大きな危険が推測されます。それらの危険を避けるため、あらかじめこれら の天体やデブリを観測することを目標にしています。観測施設は、口径1メー トルおよび50センチメートル、25センチメートルの三基の反射望遠鏡を備えた 岡山県美星町の光学観測施設と、岡山県上斎原村に置くレーダー観測施設の二 つで構成される予定です。50センチメートルと25センチメートルの望遠鏡は 2000年2月からすでに観測運用が始まっていて、今回の新彗星はこの望遠鏡で 発見されたものです。 参照 IAUC 7758(Nov.21,2001). 2001年11月22日 国立天文台・広報普及室 ---------------------------------------------------------------------- 国際天文学連合回報(IAUC)No.7760によると、この彗星は観測装置名をとって COMET C/2001 W2 (BATTERS)と呼ばれることになりました。 また、MPEC 2001-W53には"0.25-m/f/5.0"とありましたので、関係者に確認し たところ、IAUC No.7758の記述が間違いで、発見は25センチメートル望遠鏡 でなされたものだということです。 BATTERS(Bisei Asteroid Tracking Telescope for Rapid Survey): 日本スペースガード協会の小惑星観測プロジェクトの愛称です 参照 IAUC 7760(Nov.23,2001), MPEC-W53(Nov.28).     2001年11月26日 国立天文台・広報普及室