国立天文台・天文ニュース (388) 土星に4個の新衛星  土星に新たに4個の衛星が発見されました。  コート・ダジュール天文台のグラッドマン(Gradman,B)たちは、8月7日 に、ヨーロッパ宇宙機構(ESA)の口径2.2メートル反射望遠鏡による観測 で、土星本体から0.7度および0.5度離れたところに、それぞれ22.0等、 21.5等の二つの衛星を発見しました。この発見は9月23日以降の各地の観 測で確認されました。この確認の際、ハワイ、マウナケア山にある口径 3.6メートルのカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡で、グラッドマンたちは さらに2個の新衛星を発見しました。これらは20.1等、22.4等で、それぞ れ土星本体から0.4度および0.3度離れていました。この2個の新衛星も、 引き続く数日の観測で再確認されています。これらの新衛星は、順に S/2000 S1、S/2000 S2、S/2000 S3、S/2000 S4と認識符号が付けられま した。軌道が確定すれば、いずれ固有名がつけられると思われます。  土星には1981年までに、ボイジャー1号、ボイジャー2号による発見を 含めて18個の衛星が発見され、これらはすべて命名されています。その 後1995年に土星環が消失した際の観測で、数個の衛星の発見が報じられ ました。しかし、軌道が確定しなかったり、確認ができなかったりして、 確実な発見とはなっていません。今回の発見がそれらの再発見であるか どうかは、現在のところはっきりしていません。  土星は現在、発見された衛星を引き連れて「おうし座」を逆行中です。 夕方に暗くなると東の空に見えて、いまは土星はたいへん見やすい状況 です。新発見の衛星はたいへん暗いものですから望遠鏡を使っても直接 見ることはできませんが、有名な土星の環なら比較的小さい望遠鏡でも 見ることができます。見たことのない方は一度ご覧になったらいかがで しょうか。 参照 IAUC 7512(Oct.25,2000). IAUC 7513(Oct.25,2000). 2000年10月26日 国立天文台・広報普及室