国立天文台・天文ニュース (69) 串田麗樹さん、NGC3631に超新星発見  長野県、八ケ岳南麓天文台の串田麗樹さんは、11月15日早朝観測のCCD撮像から、銀 河 NGC3631 に超新星と思われる17.3等の星像を発見し、洲本市の中野主一氏を通じて国 際天文学連合に報告しました。その後の観測によってこの天体は超新星と確認され、 SN 1996bu の符号がつけられました。超新星の発見は今年に入って73個目、また串田さ んにとっては1991年以来5個目の発見になります。  NGC3631 は「おおぐま座」の北斗七星のひしゃくの底にあたる部分のすぐ外側にある 10等くらいの明るさの銀河です。発見された超新星はその銀河の中心から西に32秒、北 に117秒のところにあり、精密な位置は、            赤経 11時 20分 59.18秒            赤緯 +53度 12分 8.0秒 (2000.0) と測定されています。  各地のさまざまな観測によりますと、この超新星はタイプIIですがが、そのスペクト ルには通常のタイプIIの超新星に見られる幅の広い「はくちょう座P星型輪郭(P-Cyg features)」がなく、特異型タイプIIと見られます。超新星のタイプIとタイプIIの違い を簡単に説明しますと、観測からは、水素のスペクトル線の見えないのがタイプIで、 水素のスペクトル線のあるのがタイプIIです。また、タイプIの超新星はどの銀河にも 出現しますが、タイプIIのものは渦巻銀河の腕のところだけに現われるといった特徴が あります。  この超新星 SN 1996bu の水素輝線の赤方変位から求めた視線速度は 1140km/s で、 母銀河 NGC3631 の 1156km/s とほぼ一致していました。これは、銀河 NGC3631 にこの 超新星が属しているひとつの証拠といえます。 参照 IAUC 6505(Nov.18,1996) 1996年11月21日        国立天文台・広報普及室