国立天文台・天文ニュース (50) 新彗星 P/1996 N2 および C/1996 Q1  オーストラリア、王立天文台のエルスト(Elst,Eric W.)は、7月半ばにヨーロッパ南 天天文台の口径1メートルのシュミット望遠鏡でピザロ(Pizarro,Guido)が撮影した写 真から、「みずがめ座」に18.3等の彗星を発見しました。その後の追跡観測と計算か ら、この彗星は、周期5年あまりのメイン・ベルトの小惑星とほぼ同様の軌道であり、 それだけではなく、1979年にサイディング・スプリング天文台で観測した小惑星の 1979 OW7 と同一であることがわかりました。しかし、尾が見えることから、この天体 が彗星であることは確実で、周期彗星として P/1996 N2 の認識符号が与えられました。 通称は、エルスト・ヒザロ彗星です。  このニュースでは取り上げませんでしたが、最近発見された小惑星 1996 PW は、見 かけはまったく小惑星ですが、彗星そっくりの軌道をもっていました。こうしたことか ら考えると、小惑星と彗星を厳密に区別することがだんだん難しくなっているような気 がします。  また、オーストラリアのテイバー(Tabur,Vello)は、口径20センチ、口径比4.7の反射 望遠鏡で、8月19日(世界時)、「エリダヌス座」に10等の新彗星を発見しました。こ の彗星の認識符号は C/1996 Q1 です。直径4,5分のコマをもち、北に移動している模様 です。   青木さん、またも超新星を発見  7月末に超新星を発見したばかりの、富山市の青木昌勝(あおきまさかつ)さんは、 8月17日の観測から、「おとめ座」の銀河 NGC5584 に16等の超新星を発見しました。こ の超新星は、国際天文学連合によって、SN 1996aq の記号が付けられました。青木さん は、引き続いてのお手柄です。なお、この超新星の位置は、         赤経 14時 22分 22.72秒 赤緯  -0・ 23' 23.8" (2000.0) と測定されています。 その後の観測によって、これは極大前後のタイプIcの超新星と見られています。な お、日本人による超新星の発見はこれが15個目、今年になってからは3個目です。 参照 IAUC 6454(Aug.20,1996) IAUC 6455,6456,6457(Aug.21,1996) 1996年8月22日           国立天文台・広報普及室