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すばる望遠鏡事故調査報告書
(すばる望遠鏡障害発生報告 第五報)

2011年10月6日

平成23年7月2日(ハワイ現地時間。以下、説明のない日時については同左)にハワイ観測所のすばる望遠鏡において発生した事故に対して、国立天文台では、その重大性に鑑み、7月7日(日本時間)に下記のメンバーからなる「すばる望遠鏡事故調査委員会」を設置しました。委員会では、ハワイ観測所職員への聞き取り調査を行いつつ、第一次の現地調査が7月7-8日に、第二次の現地調査が8月8日から10日に行われ、その直後に第一回事故調査委員会が、また8月18日(日本時間)に第二回事故調査委員会が開催されました。その結果は、事故調査報告書としてまとめられ、8月30日(日本時間)に国立天文台長に提出されました。

この事故調査報告書では、可視光用主焦点ユニット(*1)を望遠鏡に搭載した時、ケーブル巻取り機構(*2)のうち望遠鏡に対して回転する外壁に別目的で設置された部品に、この主焦点ユニットと望遠鏡をつなぐ配線の束を誤って固定したことによって、観測中にケーブル巻き取り機構が正常に働かなくなり、冷却液のホースに異常な力がかかり、コネクタ付近で外れて、冷却液が漏れ出たことが直接の原因であると断定されました。

さらに、間接的要因として、望遠鏡へ部品を設置するなどの変更を加えた際に報告・チェックが充分に行われていなかったこと、問題となった主焦点ユニットについての取り付けの正しい作業手順の文書化が充分でなく、誤った作業が行われてしまったこと、また望遠鏡のエラー信号から推定できたはずの重大な事故発生の可能性を見逃してしまったことなども指摘されており、これらに対応する種々の改善案が盛り込まれています。

国立天文台では、これらの改善案に沿って作業手順の明確化、チェック体制の強化や装置の安全性の向上、望遠鏡運用体制の見直しを進めています。これまでに、すばる望遠鏡を運用しているハワイ観測所において、赤外線用主焦点ユニットの取り付け・取り外し作業の手順書の整備を完了し、ハワイ観測所内で周知徹底するとともに、この赤外線用主焦点ユニットのケーブル巻き取り機構に、非常用自動停止装置を設置しました。また、望遠鏡の重大なアラーム信号により迅速に対応するための通知ソフトウェアシステム開発と体制強化を進めています。可視光用主焦点ユニットについては、修復後に同様の安全対策をとる予定です。

あわせて、このたびの事故に関して再発防止に努めるべく、ハワイ観測所責任者3名に対し、口頭による注意を行いました。

国立天文台として、再発防止に向けて引き続き最大限の努力を払ってまいります。

(*1)主焦点ユニット:すばる望遠鏡の主焦点部分に観測装置を搭載するための機器で、装置回転機構、周辺光学系システム、ケーブル巻取り機構を一体化したシステムのことです。可視光用と赤外線用の2つの主焦点ユニットがあります。

(*2)ケーブル巻き取り装置:望遠鏡主焦点部に設置された回転しない主焦点ユニットと、その内部で回転する観測装置との間でケーブルや冷却液のホースをつなぐための機構。

すばる望遠鏡事故調査委員会

事故調査報告書

ダウンロード(PDF、1.7MB)

再発防止のための今後の改善策および、研究の進捗への影響と対策

ダウンロード(PDF、0.7MB)

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