国立天文台・天文ニュース (21)             地球に接近した彗星 いま、肉眼で見える彗星になると話題を呼んでいる百武彗星は、現在の計算では 3月25日16時30分(日本時)ころに地球に最も近づき、そのときの距離は0.1019天 文単位(1528万km)しかありません。そのため、天球上の動きは非常に速く、この日 は1日に20度近くも移動します。  しかし、過去にもっと近づいた彗星はいくつもあります。1983年に、アイラス・ 荒貴・オルコック彗星が、満月より大きいぼんやりした姿を見せながら天球を駆け 抜けていったことを記憶している方もあることでしょう。この彗星は約0.03天文単 位にまで接近したのでした。  これまでに地球に接近した彗星のリストを別表に示します。これによると、最も 地球に近づいた彗星は1770年のレクセル彗星で、最接近距離時の距離は 0.0151天 文単位(226万km)です。百武彗星は19番目の記録になります。この表は1700年以降 については記載洩れはありません。1491年2月に1491 B1彗星が0.0094天文単位にま で近づいたといわれてはいますが、この軌道は正確なものではありませんので、こ の表には含めてありません。 参照 Astronomical Journal 89,(1984),p.154-161. 訂正 天文ニュース(20)で、「いて座」に発見された新星の精測位置の赤緯を    -7゜41' 07.7" とお伝えしましたが、正しくは -17゜41' 07.7" でした。    お詫びして、訂正いたします。      1996年3月7日       国立天文台・広報普及室                別   表    最接近距離 日付(世界時)   彗星名 0.0151(AU) 1770 July 1 D/1770 L1 レクセル彗星 0.0229 1366 Oct. 26 55P/1366 U1 テンペル・タットル彗星 0.0312 1983 May 11 C/1983 H1 アイラス・荒貴・オルコック彗星 0.0334 837 Apr. 10 1P/837 F1  ハレー彗星 0.0366 1805 Dec. 9 3D/1805 V1 ビエラ彗星 0.0390 1743 Feb. 8 C/1743 C1  0.0394 1927 June 26 7P/ポン・ウイネッケ彗星 0.0437 1702 Apr. 20 C/1702 H1 0.0617 1930 May 31 73P/1930 J1 シュワスマン・ワハマン第三彗星 0.0628 1983 June 12 C/1983 J1 菅野・三枝・藤川彗星    0.0682 1760 Jan. 8 C/1760 A1 大彗星 0.0839 1853 Apr. 29 C/1853 G1 シュバイザー彗星 0.0879 1797 Aug. 16 C/1797 P1 ブーバール・ハーシェル彗星 0.0884 374 Apr. 1 1P/374 E1  ハレー彗星 0.0898 607 Apr. 19 1P/607 H1  ハレー彗星 0.0934 1763 Sept.23 C/1763 S1 メシエ彗星 0.0964 1864 Aug. 8 C/1864 N1 テンペル彗星 0.0982 1862 July 4 C/1862 N1 シュミット彗星 0.1019 1996 Mar. 25 C/1996 B2 百武彗星 0.1019 1961 Nov. 15 C/1961 T1 関彗星