国立天文台・天文ニュース(621)

宇宙の年齢は137億歳?!

 新聞などのメディアをにぎわせたように、NASA(アメリカ航空宇宙局)が中心
となって進めているWMAP衛星プロジェクトチームは、宇宙年齢が137億歳と非常
に精度よく決めることができたと発表しました。

 この結果は、NASAが打ち上げたマイクロ波観測衛星、WMAP(Wilkinson 
Microwave Anisotropy Probe)の取得した一年分のデータを解析した結果から導
かれました。WMAPは初期宇宙からの光である宇宙マイクロ波背景放射を全天に
わたって、詳細に観測する衛星です。2001年6月30日に打ち上げられ、地球から
約160万キロメートル離れた、L2と呼ばれるラグランジュ点にいて、観測を行っ
ています。

 観測結果を理論計算をもとに解釈すると、宇宙は「普通」の物質が4パーセン
ト、23パーセントが正体不明のダークマター、残り73パーセントがダークエナ
ジーによって構成されていることがわかりました。また、宇宙で最初の星は、
宇宙誕生からわずか2億年後に輝き始めただろうということもわかりました。宇
宙誕生後2億年というのは、多くの科学者が考えていたよりもずっと早い時期で
す。さらに、宇宙は平らで、永遠に膨張し続けるであろうという結果も導かれ
ました。

 WMAP衛星は、プリンストン大学のウィルキンソン(David Wilkinson)博士に敬
意を表して名づけられました。同博士は、2002年9月に亡くなった世界的に有名
な宇宙論の科学者です。

解説 http://www.nao.ac.jp/nao_news/data/NASA030211/background.html


参照:NASAプレスリリース; A Baby Picture of the Universe Tell its Age
     http://www.nasa.gov/HP_FLB_Feature_MAP_030211.html

   NEW IMAGE OF INFANT UNIVERSE REVEALS ERA OF FIRST STARS, AGE OF COSMOS, AND MORE

     http://www.gsfc.nasa.gov/topstory/2003/0206mapresults.html

   Wilkinson Microwave Anisotropy Probe
     http://map.gsfc.nasa.gov/

       2003年2月27日                        国立天文台・広報普及室

※「ラグランジュ点」:主天体(たとえば地球)の周りに従う天体(たとえば月)
 が回っているとき、さらに微かな天体が従う天体といっしょに主天体を回る
 ことができる場所を指します。地球と月の関係で言えば、地球、月、微天体
 の位置関係が常に同じ場所にあり。L1からL5の5つ点が存在します。
 WMAPは太陽・地球・WMAPと直線に並ぶL2点にいます。

※「謎のダークエナジー」:アインシュタインが予言した宇宙定数(ダークエ
 ネルギー)。国立天文台の杉山直(すぎやまなおし;宇宙論)さんによれば、
 「宇宙のほとんどを占める物質やエネルギーは何かという新たな謎も生まれ
 た」ということです。