1999年9月27日にリンカーン観測所チームによって発見されたリニア彗星(C/1999 S4)は、7月下旬を中心とした数週間、もっとも観測しやすい期間となります。7月23日には地球に0.372AU(約5565万km)にまで接近します。近日点通過は7月26日で、太陽に0.765AU(約1億1445万km)にまで接近します。リニア彗星(C/1999 S4)に関する問合せが数多く寄せられるようになりましたので、よくある質問を中心に解説します。
※ AUとは天文単位(astronomical unit)のことで、地球−太陽間の平均距離を1AUとした距離の単位です。1AU=1億4959万7870kmとなります。
よくある質問から
●リニア彗星(C/1999 S4)の画像を見られますか?
広報普及室で撮像した画像を公開しています。
リニア彗星(C/1999 S4)の画像
国立天文台広報普及室が保有する社会教育用50cm反射望遠鏡で撮像したリニア彗星(C/1999 S4)
(利用に関しては画像・データの利用規定をお読みください。)●リニア彗星(C/1999 S4)はいつ・どの方角に見えますか?
- 7月上旬
- リニア彗星(C/1999 S4)はしだいに明るさを増してきます。明け方の北東〜北の空に見えます。観測地は、北東〜北の方角を地平線近くまで見渡せる場所を選ぶとよいでしょう。時刻が進むと地平高度は高くなりますが、薄明が始まると空は明るくなり、彗星は見えにくくなります。日の出時刻の1時間半〜3時間前が比較的見やすい時間帯でしょう。
- 7月下旬
- リニア彗星(C/1999 S4)がもっとも明るくなる頃です。夕方の北〜西の空に見えます。観測地は、北〜西の方角を地平線近くまで見渡せる場所を選ぶとよいでしょう。薄明が終わる時刻には、空は暗くなるのですが、彗星の地平高度は低くなってしまいます。日の入り時刻の1時間半〜3時間後が比較的見やすい時間帯でしょう。
- 8月上旬
- リニア彗星(C/1999 S4)はしだいに暗くなっていきます。夕方の西の空に見えますが、地平高度が低く、観測しにくくなります。時刻が進むと空は暗くなりますが、地平高度はさらに低くなります。観測地は、西の方角の低空の視界を確保する必要があります。8月3日、4日には細い月がすぐ近くにあり、見つけるときの目印となるでしょう。
- 星座
- ペルセウス座→きりん座→おおぐま座→しし座→かみのけ座→おとめ座と移動していきます。明け方はカシオペヤ座、夕方は北斗七星を目印にして、星図と見比べながら探すとよいでしょう。
- リニア彗星(C/1999 S4)の位置
●リニア彗星(C/1999 S4)は何等級まで明るくなりますか?
彗星は個体差が大きく、明るさを正確に予測することはできませんが、これまでの観測から、7月下旬には5等級前後になるだろうと考えられます。
●リニア彗星(C/1999 S4)は肉眼で見えますか?
双眼鏡や天体望遠鏡を使えば、眼視で探し出すことが可能です。これらを使わずに肉眼で見ることは、絶対に見えないとは言えませんが、難しいでしょう。
一般に、空の条件がよければ、肉眼で6等星まで見えると言われています。しかし彗星の光は淡く広がっていますので、彗星の全光度は、同じ等級の恒星の光度よりも見た目に暗く感じます。さらに、比較的条件のよい地球最接近のころでも、日の入り90分後の地平高度がおよそ20度前後と低いため、大気による減光の影響があります。リニア彗星が6等より明るくなっても、肉眼ではっきりと見える明るさにまで達する可能性は小さいでしょう。また、光害のある市街地では特に見えにくくなるでしょう。
●リニア彗星(C/1999 S4)はいま何等級ですか?
ICQ(国際彗星季報)のウェブページに、世界から報告された光度が公開されています。他サイトへのリンク(天文現象)を参照してください。
※ 図版について
図はステラナビゲータVer.5((c) AstroArts Inc.)をもとに作成しました。